例えば、製品の売れ行きは、かなりの部分で見た目に左右される。見た目はダメでも、良いものは確かにある。でも売上で負けるだろう。
きっと、生物は見た目で、視覚で判断してきたことに起因するからだと思う。生物なら、中身も見た目もひとつのものだから。
製品は生物と違って、中身と見た目が一体のものではない。本体の設計、見た目の色や形状、パッケージ、広告、などなど、一体のように感じるけれど、かなり別々のものだ。売上追求の結果、 今では、粗悪品とされるものでも、見た目はそこそこ整ってたりする。
自分も見た目重視で、特に古臭いものは好きではなかった。骨董品のどこが良いのかわからなかった。でも、最近の、限界までコストカットされた中身と、見た目だけは整ったプロダクト・パッケージを見ていると、必要以上に頑丈さを備えていたり、良い素材を使っていたりする「古臭いもの」の「良さ」が、わかったような気になる。
年をとったせいで、視覚の呪縛が緩んできたのかもしれない。
